
■科学と数学をテーマにした焙煎所
アルバートコーヒーロースターズのアルバートはアルバート・アインシュタインのアルバートから。
ミルを高級なものに変えたら美味しくなったような気がする。
ハンドドリップは一番おいしい。
それ、ほんと?美味しくなった部分て実際どの部分?そもそも一番てなに?
お作法的になりがちな日本のコーヒーの世界。
そんな真偽を科学的な視点で捉え理論性を持たせる。
そんな発想が私たちの成り立ちです。
いわゆるスペシャリティコーヒーなど、生豆自体の品質が高いものを仕入れることでベースを確保、焙煎方法により表情をつけています。
ラボの様な設備を持っているロースターさんも居ますが、アルバートコーヒーロースターズは理論物理学の応用。
既知の実験事実やデータを駆使して、焙煎時のプロセスに数学や科学を取り入れ、焙煎の温度上昇速度や到達点、化学反応と味を分類して可視化しています。
私達の考えの一つにこだわらないことがあります。
【こだわる】を広辞苑で索引してみましょう。
一番最初に出てくる言葉は”ささいなことを必要以上に気にすること。”と出てきます。
こだわることは固執した概念を持つこと。
常に常識を疑い、いつも、柔軟に物事に取り組むスタイルをもっています。
独創的な理論を立てて実証作業を繰り返します。

■コーヒーと科学と芸術
アルバートコーヒーロースターズの二人は芸術への造詣が深く、写真と絵ということで出会いを迎えました。
コーヒーと科学と芸術は、まるで縁も脈絡ないように感じますよね。
しかし、これを深く理解していることでお客様にも比較的わかりやすくコーヒーの世界をお伝えすることが出来ます。
例えば嗜好品であるコーヒーと好みに左右される絵の性質は似ています。
好みではなく、良し悪しを判別するには教養が必要になります。
ゴッホの絵にはなぜ50億もの値が付くのか。
良い珈琲とはたくさんの人に支持されるから良い珈琲なのか?
自分が好きな物が正なのか?
そんな、説法がアルバートコーヒーロースターズでは繰り返されているのです。

■ヨーロッパのカフェテリアにて
ロースターの多くはコーヒーの産地を周ります。
特別な素材や自分たち独自の販路を探し求めてのことかもしれません。
しかし、私たちは、そこに価値を見出しませんでした。
商社の営業マンが回る数以上の産地を訪れることが難しいからです。
行って、知った気になることの危険性もあります。
それより、コーヒーの消費国では、どの様に提供をされているのか、どんな文化でどんな食べ物で、コーヒーの最終着地点を見ることに価値を求めました。
数度に分けてバックパックでヨーロッパを13ヶ国以上周ってまいりました。
国の数でいえばさほど多くはないのですが、コーヒーや芸術の目線で現地で生活をすることは中々ロースターとしても貴重な体験でした。
エスプレッソはなぜ、エスプレッソなのか、フランスのカフェ、イギリスのティー文化、日本にいるだけでは見えてこない私達独自の答えを導き出しました。

■焙煎所としてのアルバートコーヒーロースターズ
何故、こんな所に建てたんですか?とのご質問を多くいただきます。
アルバートコーヒーロースターズは住宅街の真ん中にポツンと存在します。
東京の電車の中で現在の物件を見つけました。
契約する時にはじめてこちらの物件、こちらの土地を知ることになったのです。
築50年、20年空き家の一軒家でした。
私たちの気にしていたことはコーヒーの味を左右する排煙システムをつかさどる煙突を好きな位置に設置できること。
自然がある場所。
そして、将来的に就労困難な障がい者や母子家庭の方達の雇用を見据えて人通りで売上が左右されない場所であることでした。
その為、現在のアルバートコーヒーロースターズの姿がなぜ此処にあるのか、なぜカフェを併設されていないのかをご理解いただけると思います。
すべては、理論的に進めなくてはいけないのです。

■スペシャルティコーヒーについて
明確な定義はありませんが、おおよそ世界生産量の5%の品質基準をクリアしたコーヒーをスペシャルティコーヒーといいます。
しかし、この言葉は形骸化されてしまい、言葉だけがうまく商用利用されています。
むしろ、〇〇農園やフェアトレードなどの言葉はその本質を見失い単なる言葉巧みにコーヒーの美味しいを彩るツールと化してしまいました。
本当はスペシャルティコーヒーの言葉を使いたくないのが心情ですがとりあえずは人にも、自然にも、経済活動にも優しい良いコーヒーを当たり前のように使っている焙煎所だと心の片隅に置いておいていただければと思います。