栽培品種

【アラビカ種】

起源はエチオピア南西部の高地原産とされており、アラビア半島や東アフリカの山岳地帯に自生しています。コーヒーの最初の発見と利用はエチオピアから始まり、その後アラビア半島、そして世界中に広がりました。

数世紀にわたって栽培され、コーヒー文化の形成に大きく寄与しました。アラビア半島のイエメンでは古くから栽培されており、コーヒーの生産と貿易が発展しました。その後、アラビカ種はコーヒー生産の主要な種類として、ラテンアメリカやアフリカの多くの国々で栽培されるようになりました。

木は通常は5メートルから6メートルの高さに成長しますが、それ以上になる場合もあります。葉は深緑色で広がり、花は白色からクリーム色をしています。果実は赤く熟し、その中に2つのコーヒー豆が含まれています。

【ブルボン】

ブルボン(Bourbon)は、コーヒーの主要な品種の一つであり、その起源はレユニオン島(かつてのボルボン島)に遡ります。この品種は、アラビカ種の中でも特に重要なものの一つで、世界中で広く栽培されています。

ブルボンは一般的に口当が柔らかくふくよかな味わいがあります。フルーティーであることが多く、特に赤い果実やベリーのような風味が感じられることがあります。木は中程度の高さに育ち、葉が広くて緑色が濃いです。また、樹勢が強いため、適切な管理がされれば安定した収量が期待できます。

比較的病害に弱い傾向があります。そのため、栽培地の環境管理が重要です。

ブルボンは、コーヒーの品質が重視されるプレミアムな市場で高く評価されており、特に中南米やアフリカの一部地域で栽培が行われています。

【ティピカ】

ティピカ種は、コーヒーの栽培において重要な品種の一つです。
アラビカ種コーヒーの一種で、主に中央アメリカおよび南アメリカで栽培されています。その起源は中央アメリカのエチオピア原産のアラビカ種コーヒーからの移入にさかのぼります。

木は比較的大きく、枝が広がりやすい特徴があります。葉は大きめで厚く、実の形も通常は比較的細長いです。
標高の高い地域での栽培に適しており、高地での栽培が一般的です。

一般に風味が豊かで、穏やかな酸味とバランスの取れた味わいが特徴です。ただし、他の品種に比べて生産量が少ないため、希少性があります。

近年では、他の品種との交配によって改良された品種が主流となっています。これにより、病害や気候変動への耐性を向上させつつ、風味を保つ努力がされています。

【カスティージョ】

カスティージョは、コロンビアの国立コーヒー研究センター(Cenicafé)によって開発された品種です。この品種は、アラビカ種の耐病性を向上させるために開発されました。主にCoffee Very Disease(コーヒーの主要な病気の一つ)に対する抵抗力が強化されています。

カスティージョのコーヒーは、一般的には穏やかでバランスの取れた風味を持ち、良質なコーヒーとして評価されています。風味はフルーティーで柔らかく、酸味が程よく、甘味があります。

カスティージョのコーヒーの木は比較的大きく、豆が集中しやすい特徴があります。収量は通常安定しており、適切な管理がされると高品質なコーヒー豆を生産することができます。

カスティージョは、コロンビア国内で広く普及しており、特にコーヒー産業の持続可能性を高めるために重要な品種とされています。耐病性が強化されているため、農家にとっても管理が比較的容易であるとされています。

【ムンドノーボ】

ムンドノーボは、ブラジルで1943年に誕生した交配品種です。この品種は、ブラジルのサンタ・カタリーナ州のカフェリア・ナシオナル(国立コーヒー研究所)で、ブラジル産のトップコーヒー品種であるブラジル種(Bourbon)とティピカ種(Typica)の交配によって誕生しました。

ムンドノーボのコーヒー豆は、比較的豊かな口当たりとバランスの取れた味わいが特徴です。一般的には、しばしばチョコレートやナッツのような風味が感じられることがあります。

成長特性: ムンドノーボのコーヒー木は、中程度の樹高で、葉が広く、緑色が濃いです。適切な管理がされると、安定した収量を生み出すことができます。

耐病性: ムンドノーボは一般的に耐病性が強く、病気や害虫に対して比較的強いとされています。これは、特にブラジルなどの病気の発生が多い地域での栽培において利点となります。

ムンドノーボは、ブラジルを中心にラテンアメリカの他のコーヒー生産国でも栽培されています。その風味の豊かさと生産性の高さから、広く栽培され、世界中のコーヒーブレンドに使用される重要な品種の一つです。

【パカマラ】

パカマラ(Pacamara)は、2つの品種、パカス(Pacas)とマラゴジッペ(Maragogipe)を組み合わせたものです。この品種は、エルサルバドルで1958年に発見され、その後中央アメリカやその他のコーヒー生産地で広まりました。

非常に大きな豆を持ち、そのため豊かな風味が特徴です。一般的には、フルーティーで複雑な味わいがあり、酸味のバランスが良いとされています。

コーヒー木は比較的大きく、葉が大きいため日陰を好みます。収量は一般的には他の品種よりも少なめですが、風味の質が高いため高評価されています。一般的に耐病性が弱く、特にCoffee Very Disease(コーヒーツリーの病気)には脆弱です。そのため、適切な管理が求められます。

特に中央アメリカのエルサルバドルやニカラグア、グアテマラなどで栽培され、その独特な風味と大きな豆の形状から、高級なスペシャルティコーヒーとして高く評価されています。

【SL-28/SL-34】

SL-28はケニアで開発された品種であり、1950年代に、スコット研究所でケニアの固有の品種として育成されました。
※Scott Agricultural Laboratories(略してSL)にちなんで名付けられました
コーヒーの耐病性、収量、および風味の向上目的に開発されました。
SL-28はその優れたカッピング(コーヒーの風味評価)特性で知られています。

SL-34もケニアで開発された品種でSL28と比べると若干小さめの豆ですが、コクがあり、甘味とバランスの取れた酸味を持つことが特徴です。SL34もまた、耐病性が強く、高品質のコーヒーを生産するために重宝されています。

これらの品種は、ケニアのコーヒー産業において重要な役割を果たしております。

【ケント】

ケント種は、元々はインドのコーヒー生産地であるケンヤ州で発見された品種です。19世紀後半に病気に強い品種として評価され、その後、世界中で広く栽培されるようになりました。ケント種は耐病性が比較的高く、特にCoffee Very Disease(コーヒーツリーの病気)に対して強いとされています。

ケント種の特徴は、比較的大きな豆、良好な耐病性、そしてしばしば柑橘系の風味があることです。風味のプロファイルは成長地域や栽培方法にも依存しますが、一般的にはフルーティーで明るい酸味が特徴です。

ケント種は今日でも一部のコーヒー生産地で栽培されており、特にインドや一部のアフリカ諸国で見られます。

【在来種】


特定の地域や農園で長い間栽培されてきた伝統的なコーヒーの品種を指します。その地域の気候や土壌条件に適応しており、特定の風味特性や品質を持っています。コーヒーの原産地の一つでもある、エチオピアやイエメンなどは数世紀にわたって独自のコーヒー品種が育成されてきました。

これらの品種は通常、手作業で収穫され、伝統的な方法で処理されることが多く、その風味と質は世界的に高く評価されています。

【マラゴジッペ】

マラゴジッペはブラジル、バイーア州のマラゴジッペ地域で発見された品種です。この地域で最初に発見されたため、品種名が地名に由来しています。
果実は非常に大きく、通常のアラビカ種のコーヒーの果実よりも大きいことが特徴です。

木は比較的大きく成長し、大きな葉と枝を持つことがあります。そのため、栽培する際には適切なスペースと管理が必要です。

通常は比較的穏やかな酸味と豊かな口当たりを持ち、香りも芳醇です。一般に、その風味は他のコーヒー品種とは異なる特徴を持っています。

【ロブスタ】

ロブスタ種は主に西アフリカおよび中央アフリカ原産で、現在では世界中の熱帯地域で広く栽培されています。主な生産国には、ベトナム、インドネシア、ブラジル、コロンビアなどがあります。

木はアラビカ種よりも大きく、葉が大きくて丸いことが多いです。木自体も丈夫で、アラビカ種よりも病気や害虫に対して比較的強いです。
豆はアラビカ種よりも小さく、丸みを帯びた形をしています。また、一般的にカフェイン含有量が高く、そのため苦味が強い特徴があります。
高温多湿な環境に適応しやすいという利点もあります。

ロブスタ種のコーヒーは、一般的にはアラビカ種と比較して苦味が強く、パンチの効いた味わいが特徴です。フルーティーやフローラルなニュアンスは少なく、より地味で深い風味が特徴です。

エスプレッソブレンドやコーヒーブレンドの一部として、苦味とボディを強調するために使われることが多いです。また、コーヒー価格の低下を抑えるためにも利用されています。

ロブスタ種は、アラビカ種と並んで世界的に重要なコーヒーの品種であり、その特有の風味と強いカフェイン含有量から、特定の需要を満たすために重要な役割を果たしています。